企業や組織のITに対する考え方は、データセンターに構築したITインフラとその環境で稼働するサーバーやアプリケーションを長期間所有し、継続的に利用・運用する形態から、クラウドを活用し、必要な量だけ消費、稼働するという形態にシフトしています。アプリケーションライフサイクルマネージメントも、従来のウォーターフォール型からアジャイル型へと変化することで、機能拡張のスピードを上げる、市場のニーズに迅速に対応するといったスタイルに変化しています。
クラウドには様々なメリットがありますが、移行並びに活用にあたっては、企業や組織は様々な課題に直面しています。特にセキュリティに関する問題は顕著で、国内外のクラウド上での情報漏えい事故の多くは、設定ミスに原因があり、クラウド特有のセキュリティ要件が課題となっているといえます。
パロアルトネットワークスでは、国内の民間企業を対象にクラウド活用とクラウドセキュリティの取り組みや課題に関する実態調査を2021年4月に実施しました。
クラウドをすでに活用している国内企業は、平均して43%のワークロードをパブリッククラウド上で稼働しており、今後2年間でその割合は60%になると予測しています。この数値は、海外企業を対象に実施した調査結果と大きく違いはありません。テレワークなどによる場所を問わないビジネスリソースの可用性など、国内でもクラウド活用が進み始めている現状を示唆しています。
しかし、大きく違う点があります。活用しているコンピューティングオプションの種類です。平均すると、海外企業は仮想マシン、コンテナ、PaaS、CaaSなどを使い分けている傾向にありますが、国内企業は仮想マシンの活用度合が圧倒的に高いことが分かりました。新しい技術の活用に積極的な海外企業と、従来データセンターで稼働していたワークロードの場所変えのような位置づけや、新しい技術の活用に消極的な国内企業の違いとも読み取ることができるかもしれません。
この調査では、他にも活用しているクラウドサービスや投資額、クラウド環境に対する脅威やリスク、課題、セキュリティ投資や活用ツール、優先事項など多岐にわたって、国内企業のクラウド活用の現状を明らかにしています。「クラウドネイティブセキュリティジャパンサーベイ 2021年版」をダウンロードして、今後のクラウド活用やセキュリティの取り組みの1つの指標としてご活用ください。